よしなしごと

つれづれなるままに、そこはかとなく書きます

レジ横の呼び鈴に人間としての尊厳を試されている

 

 

「チーン♪」

 

わたしはこの無機質な音を聞くたび人間の尊厳を考える

バイト中にである  仕事に集中してほしい

 

飲食店でバイトをしている

今までわたしのバイト先は店内利用も持ち帰りもレジで会計するシステムだった(マクドナルドと同じシステム)

ところが先月から店内利用の場合はテーブルで注文を取り、料理と伝票を渡し、帰りにレジで会計するシステムになった(ファミレスと同じシステム)

 

このシステムに変わってから、店員がテーブルで注文を取るためレジを離れてしまいお客さんが会計できないという事態が以前より多く起こるようになった

そこで、そういう時に他の店員がすぐ駆けつけられるよう、レジの横に「ご用の方はベルを鳴らしてください」という文言付きの呼び鈴が置かれた

 

その呼び鈴に尊厳を試されている

 

まず、今までならレジに店員がいないときはお客さんが「すみませ〜ん」と呼んでくれていた

「会計済ませてとっとと帰りたいのに何でレジに誰もいないんだ」という怒りの「すみませ〜ん」、「店員さん忙しそうだけど会計して帰りたいなあ」というためらいの「すみませ〜ん」、「レジで注文でいいのかな……?」という迷いの「すみませ〜ん」

「すみませ〜ん」から読み取れることはいろいろあった  声色からお客さんの状況を想像しながらレジへと向かっていた

 

呼び鈴の場合どうだろうか

呼び鈴はわたしたちに想像の余地を与えない

怒り、ためらい、迷いも全て「チーン♪」という無機質な音に変えられてしまう

「チーン♪」と鳴ったらレジへ急ぐ、わたしたちはそうすることしかできない

「チーン♪」が聞こえるとわたしの思考は停止し、足は自動的にレジへ向かう

 

わたしは「チーン♪」の前では無力である

「チーン♪」が聞こえた後のわたしは果たして一人の人間として成立しているのだろうか

 

またこの「『チーン♪』と鳴ったらレジへ行く」という一連の動作に、わたしは教職の授業で学んだあることを重ねてしまう

 

パブロフの犬」をご存知だろうか

犬にベルの音を聞かせてからエサを与える、これを繰り返すとやがて犬はベルの音を聞いただけでエサがなくとも唾液を分泌するようになる、というパブロフさんの実験である  たぶん

つまりは条件反射のことだ

 

わたしがレジへ向かうのも、もう反射の域かもしれない

反射は無意識だ  「チーン♪」を前にしたわたしは無意識にレジへと向かう一匹の「動物」なのだ

 

いつのまにか呼び鈴に恐怖を感じている自分がいた

「いつあの無機質な音に呼び出されるのか」と怯えている自分がいた

呼び鈴に怯えるわたしは何者か

 

わたしは呼び鈴に人間としての尊厳を試されている

 

 

何が言いたいかというと

バイト先の人手が足りていません